増大号 見て学ぶ 一般検査学アトラス—外観検査から顕微鏡検査まで
穿刺液検査
胸水・腹水
胸水・腹水の顕微鏡検査
大﨑 博之
1
1神戸大学大学院保健学研究科病態解析学領域
キーワード:
ギムザ染色
,
PAS反応
,
パパニコロウ染色
,
免疫細胞化学
Keyword:
ギムザ染色
,
PAS反応
,
パパニコロウ染色
,
免疫細胞化学
pp.296-318
発行日 2022年3月1日
Published Date 2022/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543208634
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体腔液中の正常・良性細胞
体腔液中に出現する正常細胞として,血球(赤血球,好中球,好酸球,リンパ球,組織球)と中皮細胞がある.体腔液の細胞分類の迅速報告として,サムソン(Samson)染色法(サムソン3分類法)やチュルク(Turk)染色法が提唱されている.しかし,これらの方法では大まかな細胞分類しかできないことに加え,永久標本とならないため,悪性腫瘍細胞が出現した場合に後日確認できないなどの問題もある.そのため,やむを得ない場合を除いてギムザ(Giemsa)染色を用いた細胞分類を行うべきと考える.現在,30秒程度でギムザ染色と同等の結果が得られる迅速染色キット(ディフ・クイック®,ヘマカラー®など)が各社から販売されており,染色時間に関する問題は解消されている.
体腔液中に出現するリンパ球と組織球は,しばしば異型や腫大を呈するため腫瘍細胞との鑑別が必要となる.また,反応性中皮細胞と腺癌細胞の鑑別は,細胞形態では困難なこともあり,その場合には複数の抗体を用いた免疫細胞化学の結果で鑑別する必要がある.しかし,多くの場合,一般検査室で実施可能なギムザ染色と過ヨウ素酸シッフ(periodic acid schiff:PAS)反応を用いることで,これら良性異型細胞と腫瘍細胞の鑑別は可能と考える.
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