増大号 見て学ぶ 一般検査学アトラス—外観検査から顕微鏡検査まで
精液検査
精液の顕微鏡検査
横山 千恵
1
,
松岡 実紀子
1
,
古城 公佑
2
1筑波大学附属病院検査部
2筑波大学医学医療系泌尿器外科
キーワード:
精子濃度
,
運動率
,
生存性試験
,
奇形精子
,
異常形態精子
,
円形細胞
Keyword:
精子濃度
,
運動率
,
生存性試験
,
奇形精子
,
異常形態精子
,
円形細胞
pp.382-387
発行日 2022年3月1日
Published Date 2022/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543208642
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精子形態の評価(図1〜4)
精液に含まれる精子は,活発な運動性を有する前進運動精子,運動性が弱く小さな円を描くように動く非前進精子,動きが全くみられない不動精子や死滅精子,正常形態を喪失した奇形精子に分類される.精液の顕微鏡検査では,1回射精当たりの総精子数や,単位体積当たりの精子の数(精子濃度)だけでなく,運動精子の割合(運動率)や正常精子の割合(正常形態率)も定量的に評価する.これらは自然妊娠するまでの期間や不妊治療の成功率と相関するため,古くから用いられている指標である.
精子の頭部には凝縮した核の前半部分を先体が覆う.受精の際に最初に融合する部位である.頭部と尾部との間をミトコンドリアがらせん状に取り囲み,精子の運動に必要なエネルギーを産生する(図1).
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