Japanese
English
シリーズ-感染症 ガイドラインから見た診断と治療のポイント・3
急性中耳炎
Acute otitis media
工藤 典代
1
Fumiyo KUDO
1
1千葉県立保健医療大学健康科学部栄養学科
キーワード:
診療ガイドライン
,
抗菌薬治療
,
細菌検査
,
重症度スコア
,
ペニシリン耐性肺炎球菌
Keyword:
診療ガイドライン
,
抗菌薬治療
,
細菌検査
,
重症度スコア
,
ペニシリン耐性肺炎球菌
pp.789-795
発行日 2012年7月15日
Published Date 2012/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542103076
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はじめに
急性中耳炎は小児,特に乳幼児が罹患しやすい上気道炎の1つである.夜間に耳痛を訴え子どもが突然泣きだした後,朝になって耳漏が出ていたのに気がついたということを,子どもをもつ親ではよく耳にし,経験することもある.欧米の報告によると急性中耳炎は生後1歳までに62%,生後3歳までに83%が少なくとも一回は罹患するとされているありふれた中耳の感染性疾患である.
治療は,数年前までは各診療医それぞれの判断に任されていた.すなわち,抗菌薬の選択や鼓膜切開などの判断は各診療医にゆだねられていた.
しかし,第3世代セフェム薬が広汎に使用されるようになった1990年代から,急性中耳炎の起炎菌である肺炎球菌とインフルエンザ菌において,抗菌薬に対する耐性菌が急激に増加し,急性中耳炎にも治りにくい症例や入院治療を要する症例の報告が相次ぐようになった1,2).そのような背景から,本邦で初めて「小児急性中耳炎診療ガイドライン」3)が作成され,公表されたのは2006年3月であった.その後,2009年に改訂4)され現在に至っている.
本稿では,ガイドラインからみた急性中耳炎の診療について述べる.
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