Japanese
English
今月の主題 癌幹細胞と検査医学
話題
白血病幹細胞を標的とした新規治療法
Novel therapeutic approach for leukemic stem cells
田中 宏和
1
,
金倉 譲
1
Hirokazu TANAKA
1
,
Yuzuru KANAKURA
1
1大阪大学大学院医学系研究科血液・腫瘍内科
キーワード:
leukemic stem cells
,
self-renewal
,
niche
Keyword:
leukemic stem cells
,
self-renewal
,
niche
pp.507-511
発行日 2011年5月15日
Published Date 2011/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542102625
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1 . はじめに
正常組織と同様に,種々の癌においてもごくわずかな“癌幹細胞(cancer stem cell;CSC,もしくはcancer-initiating cell)”と呼ばれる幹細胞が存在し,限られた分化と自己複製により腫瘍組織を維持しているだけでなく,治療に対する抵抗性や再発に強く関連していることが明らかになっている.腫瘍組織を形成する癌幹細胞以外の癌細胞は限られた分裂能しか有さず,いずれアポトーシスを起こしていくので,癌を治癒させるにはCSCのみを死滅させれば十分である.近年,正常幹細胞と癌幹細胞を識別可能な表面抗原や,両者の自己複製能,多分化能の維持にかかわる分子機構の異同についての知見を基に,癌幹細胞を標的とした新たな治療が開発されつつある(図1).
本稿では造血器腫瘍の代表的疾患である白血病において,真の治療標的と想定される白血病幹細胞(leukemic stem cell;LSC)に対する治療の最近の動向について,急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia;AML),慢性骨髄性白血病(chronic myeloid leukemia;CML)を中心に概説したい.
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