映画に学ぶ疾患・14
「君がくれた夏」―ユーイング肉腫と父子
安東 由喜雄
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1熊本大学大学院生命科学研究部病態情報解析学分野
pp.356
発行日 2011年4月15日
Published Date 2011/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542102603
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骨肉腫やユーイング肉腫は特に小児に発生する悪性腫瘍で,小児の骨に発生する悪性腫瘍としてはそれぞれ1位と2位を占める.最近の染色体検査技術の進歩により,この病気も確定診断がつくようになってきた.その詳細な腫瘍形成機序はいまだにわかっていないが,ユーイング肉腫を患う患者では,摘出腫瘍組織から染色体を抽出しこれを解析し,染色体の転座であるt(11;22)(q24;q12)を検出すると確定診断となる.
肉腫では骨ではなく,肺から腫瘍が発生し,腫瘍が増殖する過程で骨に転移するといった逆の進行パターンを呈するケースも稀ではあるが報告されている.2007年に放送されたドラマスペシャル「君がくれた夏」に登場する木崎直也少年は,不幸にもこの進行パターンを呈するユーイング肉腫を患う運命を背負った.このドラマは730日間も癌と闘った彼の壮絶な闘病記,両親との心の触れ合いを綴った母親の手記を元にしている.
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