Japanese
English
今月の主題 広義のアポリポ蛋白
話題
〈修飾アポリポ蛋白〉
ニトロ化およびクロル化アポリポ蛋白
Modified apolipoproteins:nitration and chlorination of apoproteins
綾織 誠人
1
Makoto AYAORI
1
1防衛医科大学校老年内科
キーワード:
アポリポ蛋白B
,
アポリポ蛋白A-Ⅰ
,
酸化修飾
,
コレステロール引き抜き反応
Keyword:
アポリポ蛋白B
,
アポリポ蛋白A-Ⅰ
,
酸化修飾
,
コレステロール引き抜き反応
pp.401-405
発行日 2010年4月15日
Published Date 2010/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542102275
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1.はじめに
動脈硬化の発症機構としての酸化ストレスの重要性については,多くの研究がこれを支持する結果を提示しており論を俟たないところである.Rossら1)が提唱した傷害反応仮説において中心的な役割を果たすのは,低比重リポ蛋白(low density lipoprotein;LDL)の酸化修飾であるとされ,特にその構成蛋白であるアポリポ蛋白B(アポB)および脂質成分の修飾機構が注目されてきた.一方,抗動脈硬化リポ蛋白である高比重リポ蛋白(high density lipoprotein;HDL),特にその主要アポリポ蛋白A-Ⅰ(アポA-Ⅰ)のニトロ化/クロル化の動脈硬化性疾患における役割が明らかにされつつあり,近年はLDLよりもむしろHDLのアポリポ蛋白修飾について精力的な研究が展開されている.
本稿では,動脈硬化発症機構におけるアポ蛋白のニトロ化/クロル化の役割について述べるとともに,特にアポA-Ⅰのニトロ化/クロル化に関する一連の研究から得られた,HDLによるコレステロール引き抜き反応の詳細な分子機構についても触れたい.
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