Japanese
English
今月の主題 広義のアポリポ蛋白
話題
〈修飾アポリポ蛋白〉
糖化アポリポ蛋白
Modified apolipoproteins:glycated apolipoproteins
宍野 宏治
1
Koji SHISHINO
1
1愛媛大学大学院医学系研究科病態解析学講座法医学分野
キーワード:
アポリポ蛋白
,
糖化リポ蛋白
,
変性リポ蛋白
Keyword:
アポリポ蛋白
,
糖化リポ蛋白
,
変性リポ蛋白
pp.406-410
発行日 2010年4月15日
Published Date 2010/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542102276
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1.はじめに
近年,各研究分野において分子生物学的な手法が導入され,動脈硬化の成因についてもリポ蛋白やそのレセプターの面より解析が進められてきた.最近では内臓脂肪肥満を背景として,高血圧症,脂質異常症,糖尿病(耐糖能低下を含む)などの生活習慣病のリスクファクターが軽度に合併している状態のメタボリックシンドロームにより,血管病変が進行し,動脈硬化が発生しやすくなると考えられるようになってきている.メタボリックシンドロームの特徴は動脈硬化や冠動脈疾患の危険因子が複数重なりあうことで,その発症リスクが高まる点である.すなわち,メタボリックシンドロームは動脈硬化性疾患の予防を目的として生まれた概念である.
この中で脂質異常症に関しては,高コレステロール血症よりも,高中性脂肪血症や低値の高比重リポ蛋白血症(低HDL血症)がメタボリックシンドロームのリスクファクターとして考えられている.しかし,これら以外にも,血管病変の要因としては変性リポ蛋白やそのレセプター,サイトカインとの関連が注目され,これらに関連して酸化リポ蛋白や糖化リポ蛋白,糖化アポリポ蛋白などが血管病変に関与するとの実験成績も報告されてきている.
わが国においても増加の傾向を辿っている糖尿病の血管障害のリスクファクターとしては糖化リポ蛋白,酸化リポ蛋白,糖化アポリポ蛋白あるいは低比重リポ蛋白(sd-LDL)などが考えられており,多くの報告が行われるようになってきている.
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