Japanese
English
今月の主題 広義のアポリポ蛋白
話題
粥状動脈硬化症の分子病理学的解析
Molecular elucidation of atherosclerotic pathology
範 江林
1
,
小池 智也
1
Jianglin FAN
1
,
Tomonari KOIKE
1
1山梨大学大学院医学工学総合研究部分子病理学講座
キーワード:
動脈硬化
,
高脂血症
,
分子病理学
Keyword:
動脈硬化
,
高脂血症
,
分子病理学
pp.423-428
発行日 2010年4月15日
Published Date 2010/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542102279
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1.はじめに
動脈硬化とその合併症である心筋梗塞,脳卒中といった生活習慣病は,わが国の死亡原因の約30%を占め,人口の高齢化が加速される中で,今や医学領域のみならず社会経済的にも最も重要な課題の一つとなっている.この動脈硬化の原因ならびに成立機序に関しては,脂質異常症〔高脂血症と低HDL(high density lipoprotein)血症〕や糖尿病,高血圧,喫煙などの古典的な危険因子が重要な役割を演じることは周知の通りであるが,この10数年で,様々な分子生物学的技術の進歩により,動脈硬化の発生および進展にかかわる遺伝子の同定や蛋白質の機能解析が盛んに行われるようになってきた.分子レベルでの病理学的解析は,動脈硬化の病態の成り立ちを解明できるだけでなく,動脈硬化に対する予防法・診断法・治療法の開発にも大きく貢献できるものと考えられる.
本稿ではまず,動脈硬化の発生に関する分子機序を概説し,分子病理学の立場から,今後,どのように動脈硬化の病態を解明していくのかを論じたい.
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