今月の主題 脳磁図で何がわかるか?
話題
ヒト聴覚野の等周波数帯
尾﨑 勇
1
,
多喜乃 亮介
2
,
橋本 勲
3
Isamu OZAKI
1
,
Ryosuke TAKINO
2
,
Isao HASHIMOTO
3
1青森県立保健大学健康科学部理学療法学科
2白梅学園大学子ども学部子ども学科
3金沢工業大学
キーワード:
tonotopy
,
isofrequency bands
,
周波数スペクトラム
Keyword:
tonotopy
,
isofrequency bands
,
周波数スペクトラム
pp.1065-1072
発行日 2009年9月15日
Published Date 2009/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542102066
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1.はじめに
空気などの媒体がほかの物質との境界で急激に動くときに音は発生する.ある音を聞いたときに,われわれは音がどこから発生したかと同時に,音の特徴から発生源が何かを解析することになる.われわれが知覚する特徴として,音の強弱のほか音高(ピッチ,pitch)があるが,ピッチは高いまたは低いという知覚で,音の周波数に一致する.しかし,自然界には単一の周波数からなる音はほとんどない.ヒトの音声はフォルマントと呼ばれるいくつかの周波数のピークをもつほか,小鳥や楽器の音には独特の音色(timbre)があり,これらは音の周波数スペクトラムのパターンによって特徴づけられる1).したがって,音声の母音や楽器音の認知には,ピッチの解析に加えて,音の周波数スペクトラムのパターンを脳内で再現する必要がある.
本稿では,音周波数スペクトラムのパターンが神経系でどのように解析されるのかについて述べるとともに,聴覚皮質における音再現地図(tonotopy)・等周波数帯(isofrequency bands)の意義と関連する聴覚誘発脳磁界(auditory evoked magnetic field;AEF)の研究について概説する.
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