Japanese
English
特集 感覚情報の処理機構
聴覚における周波数分析機構
Mechanisms of frequency analysis in auditory system
丸山 直滋
1
Naoshige MARUYAMA
1
1新潟大学脳研究所
1Brain Research Institute, Niigata University
pp.620-627
発行日 1972年8月10日
Published Date 1972/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903416
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聴覚心理学では,音の三要素として,調子・大いさ・音色を挙げており,調子は周波数に,大いさは振幅に,音色は波形に対応するといわれている。しかし,合成音の研究や,音声分析の研究からも明らかなように,成分音の位相関係が変われば,波形は変化するが,音色感覚は変わらない。音色感覚は,もっぱら成分音の周波数と,その相対的量比,すなわち周波数分析のパターンによって決まる。調子の感覚についても,音声分析の立場からいえば,基音の周波数によって決まるといえる。このように,音色感覚も,調子の感覚も,周波数分析によって抽出された情報要素と,よく対応するので,古くから聴覚の情報処理機構として,まず周波数分析が行なわれるものと期待されていたことは,当然といえよう。
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