今月の主題 脳磁図で何がわかるか?
話題
主観的な感覚―体性感覚野における意識的な情報処理の表出
井口 義信
1
,
橋本 勲
2
Yoshinobu IGUCHI
1
,
Isao HASHIMOTO
2
1東京都精神医学総合研究所
2金沢工業大学
キーワード:
一次体性感覚野
,
二次体性感覚野
,
感覚の心象表現
Keyword:
一次体性感覚野
,
二次体性感覚野
,
感覚の心象表現
pp.1073-1078
発行日 2009年9月15日
Published Date 2009/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542102067
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1.はじめに
主観というみえざる内面世界を,脳神経活動から客観的に捉えようとする研究が進んできている.そこには,記憶,情動,報酬期待を題材とした多くのアプローチがあり,感覚野,連合野,皮質下領域の複合的な活動が俯瞰的に示されている.本稿の視点は,この脳内構成のなかでの感覚野の役割である.感覚野は,単なる感覚入力の受け手ではなく,行為や志向を背景とした意識的な情報処理の担い手であり,そこには,感覚の心象表現を形成する実行単位としての働きがあると考えられる.
本稿では,「主観」を評価する切り口として,同じ感覚入力でも状況によって異なった受け止め方が生じることを題材とする.筆者らが行った体性感覚誘発脳磁界(somatosensory evoked magnetic fields;SEFs)の研究を軸に,①注意のスポットライト,②相対的な感覚,③触感のイメージ,について感覚野の詳細な活動を示し,その神経機構が,脳の可塑的変化や学習・訓練による統合的処理と関連することを述べる.
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