今月の主題 生体内微量元素
話題
微量元素と内分泌機能
荒川 泰行
1,2
,
荒川 泰雄
3
,
林 洋一
4
,
森山 光彦
3
Yasuyuki ARAKAWA
1,2
,
Yasuo ARAKAWA
3
,
Youichi HAYASHI
4
,
Mitsuhiko MORIYAMA
3
1日本大学
2公立阿伎留医療センター
3日本大学医学部内科学系消化器肝臓内科学分野
4日本大学医学部総合医学研究所
キーワード:
内分泌機能
,
微量元素
,
糖尿病
,
甲状腺
,
生殖機能
Keyword:
内分泌機能
,
微量元素
,
糖尿病
,
甲状腺
,
生殖機能
pp.203-212
発行日 2009年2月15日
Published Date 2009/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101892
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はじめに
生体における微量元素(鉄,亜鉛,銅,セレン)の存在比は0.02%にすぎないが,大部分が酵素の活性中心ないし微量生体内活性物質として存在し,微量でも大きな働きをしている.“たかが微量元素,されど微量元素”の認識が大切であって,たとえ微量であっても,生体にとっては欠かせないものであり,どの微量元素もそれぞれ大切な役割を担っているので,体内に含まれている量が少ないからといって重要度が低いということではない.
微量元素はそれぞれがもつ生理活性に依存して直接的,あるいは間接的に細胞内代謝や細胞応答関与の酵素,サイトカイン,ホルモンなどの活性化機構やシグナル伝達機構への影響を介して生体機能のホメオスタシス維持に重要な働きをしている.したがって,生体必須微量元素,特に亜鉛,銅,鉄,セレンなどの過剰蓄積,あるいは欠乏によってバランスの乱れが起こると,視床下部,脳下垂体,甲状腺,副腎,膵,精巣,卵巣という多くの内分泌腺とそのホルモンの機能異常を誘発することは容易に考えられる.
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