特集 ホルモンの病態異常と臨床検査
コラム
脳内ナトリウム利尿ペプチドと発熱
渡邊 達生
1
1鳥取大学医学部統合生理学分野
pp.1317
発行日 2008年10月30日
Published Date 2008/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101789
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血圧低下やナトリウム利尿を起こすホルモンとして,心房性ナトリウム利尿ペプチド(atrial natriuretic peptide;ANP)が知られている.一方,細菌性内毒素は発熱性サイトカインの産生を刺激して発熱を引き起こすものと理解されている.
近年われわれは,脳内のナトリウム利尿ペプチドとその受容体が細菌性内毒素による発熱と,発熱性サイトカインの産生を抑制している事実を発見した1).具体的には,細菌性内毒素の静脈内投与による3相性発熱の3相目は,ナトリウム利尿ペプチド受容体拮抗薬の脳室内投与により有意に増強した.ANPを脳室内に投与すると,細菌性内毒素による発熱の3相目は有意に抑制された.したがって,脳内のナトリウム利尿ペプチドは細菌性内毒素による発熱性サイトカイン産生を抑制して,発熱を抑制しているものと推察される.
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