特集 ホルモンの病態異常と臨床検査
各論Ⅰ ホルモンの病態異常と検査
7.副腎
2) グルココルチコイド
岡部 泰二郎
1
,
柳瀬 敏彦
1
,
高柳 涼一
1
Taijiro OKABE
1
,
Toshihiko YANASE
1
,
Ryoichi TAKAYANAGI
1
1九州大学大学院医学研究院病態制御内科
キーワード:
コルチゾール
,
尿中遊離コルチゾール
,
尿中17-OHCS
Keyword:
コルチゾール
,
尿中遊離コルチゾール
,
尿中17-OHCS
pp.1248-1251
発行日 2008年10月30日
Published Date 2008/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101769
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構造,産生,分泌
ヒトのグルココルチコイドはコルチゾールであり図1のような構造をしている.コレステロールを原料にして合成される.ステロイド核の3位の炭素(C-3)とC-20にケト基,C-11,C-17,C-21に水酸基が結合しており,C-4とC-5の間が二重結合になっている.
コルチゾールは主として副腎皮質束状層において合成されるが,その合成分泌は下垂体副腎皮質刺激ホルモン(adrenocorticotropic hormone;ACTH)により促進的調整を受ける.副腎皮質からのコルチゾールの分泌は視床下部-下垂体-副腎皮質系により巧妙に調節されている.すなわち下垂体のACTH分泌は視床下部のコルチコトロピン放出因子(corticotropin-releasing factor;CRF)により刺激され,副腎皮質からのコルチゾール分泌はACTHにより促進される.また,コルチゾールはネガティブフィードバック機構によりCRFおよびACTHの分泌を抑制的に調節している.さらに視床下部は上位の大脳中枢および大脳辺緑系の調節を受け,その影響を受けてACTH-コルチゾール系の日内変動やストレス時などの反応機構を形成する.正常人において通常24時間に分泌されるコルチゾールは20mg程度とされ,強力なストレス下では100~300mg程度に増加する.
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