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1.はじめに
現代社会では「ストレス」という言葉が浸透し,日常会話でも頻繁に使われるようになった.仕事や勉強,職場・学校・近隣での人間関係,家庭の諸問題等々がストレスの要因(ストレッサー)となり,多くの方々が精神的ストレスを感じているものと思われる.過度なストレスを受けている場合には,①各個人がストレスに対応できる能力を向上させる,②各個人をとりまく周囲の人(家族,友人,同僚など)がサポートしてストレスを軽減させる,③ストレス軽減に向けた社会的支援を利用するなどして,心身症,神経症,うつ病などに罹らないようにできるだけ未病の段階で防ぐことが望ましい.一方で,ストレスの全くない生活では活気も失われてしまい,心身ともに健康で豊かな生活を営むことはできない.つまり,ストレスは「人生のスパイス」といわれるように,適度なストレスの範囲内で上手く付き合うことが大事である.
血液や尿などの生化学的検査は,病気の診断,治療,早期発見や予防にいまや不可欠な存在である.しかしながら,うつ病などの精神疾患,未病のストレス状態などを定量的に評価できる生化学的指標は確立されていない.血液中には生体のストレス応答時に放出される成分も含まれるが,例えば穿針採血自身がストレス負荷となり,真のストレス状態を正しく評価・診断できないことが予想される.そのうえ,ストレス評価は病気の診断・検査のように必ずしも病院で行うものではなく,日常生活の場(フィールド)で血液検査を簡単にできるとは言い難い.そこで,ストレスフリーで簡単に採取できる唾液が注目され,ストレス指標の研究や迅速分析を組み込んだ製品開発が進められている.本トピックスでは,まずは唾液ストレス関連成分について概説したうえで,製品化された唾液アミラーゼ計測装置と次世代の分析ツールとして期待されているラボチップ分析システムを中心に紹介する.
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