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Jpn J Diabet Mast Clin Volume 9, Issue 5 （November 2011）

糖尿病診療マスター 9巻5号（2011年11月発行）

Japanese English

特集糖尿病の治療―見て，見つめて，見つめなおす

Ⅲ薬物療法の意義と有用性 1）経口糖尿病治療薬―薬剤の特性と治療における意義

DPP-4阻害薬の意義と有用性 Therapeutic significance and usefullness of DPP-4 inhibitors in diabetes mellitus 宮川潤一郎 ¹ ¹兵庫医科大学　内科学糖尿病科キーワード：糖尿病 , Diabetes mellitus , DPP-4 , dipeptidyl peptidase-4 , ジペプチジルペプチダーゼー4 , DPP-4阻害薬 , DPP-4 inhibitor , インクレチン , Incretin , GLP-1 , glucagon-like peptide-1 , グルカゴン様ペプチド-1 , GIP , glucose-dependent insulinotropic polypeptide Keyword: 糖尿病 , Diabetes mellitus , DPP-4 , dipeptidyl peptidase-4 , ジペプチジルペプチダーゼー4 , DPP-4阻害薬 , DPP-4 inhibitor , インクレチン , Incretin , GLP-1 , glucagon-like peptide-1 , グルカゴン様ペプチド-1 , GIP , glucose-dependent insulinotropic polypeptide pp.513-520

発行日 2011年11月1日 Published Date 2011/11/1

DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415101234

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はじめに

　DPP-4（dipeptidyl peptidase-4）阻害薬はGLP-1（glucagon-like peptide-1）受容体作動薬とともにインクレチン治療薬のひとつであり，新たな糖尿病治療薬として注目されている．DPP-4阻害薬は消化管由来のインクレチンホルモンであるGLP-1およびGIP（glucose-dependent insulinotropic polypeptide）のDPP-4による不活化を阻害して血中濃度を上昇させることによりインクレチン作用を増強する．しかし，薬理学的な見地からみると，GLP-1の生理作用の多面性により発揮されるインクレチン作用以外の様々な膵内および膵外作用に加えて，DPP-4というペプチダーゼないしプロテアーゼとして，本来有する種々の基質に影響を与える可能性もある薬剤としてそう単純な薬剤でもない．本稿ではそのような観点から最近の成績をもとにDPP-4阻害薬の意義と有用性について考える．