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第5土曜特集 糖尿病治療・研究の最前線2021
基礎研究
インスリン分泌機構
-――糖尿病の膵β細胞におけるGタンパク質シグナル変換の意義
Mechanisms of insulin secretion
――Significance of G protein signaling switch in β-cells of diabetes
髙橋 晴美
1
,
オドゥオリ オケチ
1
,
清野 進
1
Harumi TAKAHASHI
1
,
Okechi S. ODUORI
1
,
Susumu SEINO
1
1神戸大学大学院医学研究科分子代謝医学
キーワード:
膵β細胞
,
インスリン分泌
,
Gタンパク質
,
インクレチン
,
糖尿病
Keyword:
膵β細胞
,
インスリン分泌
,
Gタンパク質
,
インクレチン
,
糖尿病
pp.364-370
発行日 2021年1月30日
Published Date 2021/1/30
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27605364
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膵β細胞からのインスリン分泌は生理的にはグルコース刺激によって惹起されるが,種々の因子によって制御される.とくに消化管から分泌されるインクレチンによる分泌増強は重要であり,これを応用したインクレチン関連薬は現在,2型糖尿病の標準治療となっている.主要な2つのインクレチンであるglucagon-like peptide-1(GLP-1)とglucose-dependent insulinotropic polypeptide(GIP)は健常人ではいずれもインスリン分泌を増強して食後高血糖を抑制するために重要であるのに対し,2型糖尿病患者ではGLP-1の作用は保持されるがGIPの作用が減弱していることが知られていた.しかし,この原因は長らく大きな謎であった.最近,ATP感受性Kチャネル(KATPチャネル)のサブユニットKir6.2の膵β細胞特異的欠損マウスや糖尿病モデルマウスの解析から,糖尿病の膵β細胞では高血糖による持続的脱分極のために細胞内のGタンパク質シグナルの変換が起こり,GLP-1とGIPに対する応答性に差異が生じることが明らかになった.これは2型糖尿病患者でGLP-1のみが血糖降下作用を示す理由を説明するものであり,糖尿病治療に重要な示唆を与える.
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