講座 臨床生化学講座Ⅵ
酵素—血清酵素を中心に
松田 誠
1
,
藤沢 洌
2
1東京慈恵会医科大学医化学教室
2東京慈恵会医科大学高橋内科
pp.755-759
発行日 1967年10月15日
Published Date 1967/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542917186
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I.酵素反応
生きている細胞の基本的な性質の一つは,その環境温度で複雑な代謝反応を非常にすみやかに進めることで,細胞内でこのような複雑な反応を見事に進めていく主な因子は酵素とよぶ一群のタンパク質である。酵素は生細胞によってつくられ一定の反応を触媒するタンパク質でその反応を細胞維持に必要な速度で進める。酵素はその触媒する反応量に比べると問題にならないくらい低濃度で作用する。酵素の機能は本質的にはその酵素の作用をうける物質(基質)を活性化して,反応速度を促進するのであって,しかも一つの酵素がいろいろな反応を触媒するのでなく,細胞でおこる数千の反応にはそれだけの酵素が必要である。すなわち酵素は基質特異性をもっているのである。
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