シリーズ最新医学講座・Ⅱ 臨床検査用に開発された分析法および試薬・4
共役酵素を用いる測定方法の開発
笠原 靖
1,2
Yasushi KASAHARA
1,2
1昭和大学医学部臨床病理
2富士レビオ株式会社
キーワード:
反応速度
,
律速
,
結合エネルギー
Keyword:
反応速度
,
律速
,
結合エネルギー
pp.472-477
発行日 2008年4月15日
Published Date 2008/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101582
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1.はじめに
酵素を試薬に使用する生化学検査は酵素活性測定と物質測定に大別される.いずれも発色,UV,蛍光および発光などの最終検出に至る工程のなかで,2つ以上の酵素が使用される場合,これらの酵素を共役酵素と呼んでいる.
体液中の物質を測定する例では,往時脚光を浴びた血清総コレステロールの酵素法測定1)がある.従来の化学反応と分離分析を要した煩雑な測定が,血清と3つの酵素,コレステロールエステラーゼ,オキシダーゼ,ペルオキシダーゼと発色試薬を混合するだけの操作で,わずか15分で結果を得る方法である.これを期に酵素を用いた検査法の操作手順の簡素化や精度の改善を試みる研究が注目された.メーカーの研究者もコレステロールの酵素法に,大いに刺激を受けたものである.
ここでは物質測定ではなく酵素測定に共役酵素を用いた例について,われわれが開発した血清アンジオテンシン-1変換酵素(angiotensin-1 converting enzye:EC3.4.15.1;以下ACEとする)と,その実現のため合成した新基質と共役酵素から発展した血清コリンエステラーゼ(psudo cholineesterase:EC3.1.8;以下ChEとする)など,一連の酵素測定法を紹介したい.
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