今月の主題 アスベストと中皮腫
総論
アスベストによる中皮腫の誘発:実験的アプローチ
髙田 礼子
1
,
網中 雅仁
1
,
山内 博
2
Ayako TAKATA
1
,
Masahito AMINAKA
1
,
Hiroshi YAMAUCHI
2
1聖マリアンナ医科大学予防医学
2北里大学医療衛生学部公衆衛生学
キーワード:
中皮腫
,
活性酸素種・活性窒素種
,
遺伝子異常
,
腹腔内投与
Keyword:
中皮腫
,
活性酸素種・活性窒素種
,
遺伝子異常
,
腹腔内投与
pp.973-977
発行日 2008年9月15日
Published Date 2008/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101688
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
アスベストによる中皮腫発生機序は十分に解明されていない.これまでに,中皮腫の発生には,繊維による物理的・化学的作用,炎症に伴って産生される活性酸素種・活性窒素種の関与が考えられている.また,分子生物学的解析から,癌抑制遺伝子であるp16,NF2の異常が比較的高頻度に認められている.ラットやマウスにアスベストを胸腔内または腹腔内投与し発生させた実験動物モデルとしての中皮腫は,ヒト中皮腫と類似した病理組織学的および分子生物学的特徴を示すことから,ヒトへの外挿が可能であると考えられ,今後,中皮腫の発生機序,早期診断法,治療法などの研究への応用が期待される.
Copyright © 2008, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.