発行日 2007年5月1日
Published Date 2007/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2007169047
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アスベストは、耐熱性、耐摩耗性、絶縁性などの物性に優れ、なおかつ安価であることから、わが国では1970年代から1980年代の高度経済成長期に、大量に輸入・使用されてきた。アスベストは、微細な繊維性の粉じんとして気道より吸入され、長く生体内に留まり、病原性を発揮する。アスベストによる健康被害は、胸膜に対しては、びまん性胸膜肥厚、良性石綿胸水、悪性胸膜中皮腫があり、肺に対しては石綿肺と肺がんがある。また、壁側胸膜の病変である胸膜プラークは、疾患としては捉えられていないが、アスベストに起因する病変として重要である。本稿ではこれらのアスベスト関連疾患、または病変について解説し、あわせてアスベストによる健康被害に対する公的な補償や救済制度、健康診断などの対策について述べた。
©Nankodo Co., Ltd., 2007