Coffee Break
わが家の宝―松浦武四郎の古い北海道地図
佐々木 禎一
1
1元札幌医科大学附属病院検査部
pp.314
発行日 2008年3月15日
Published Date 2008/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101561
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私が昭和26(1951)年に北大を卒業し札幌医大に就職して間もなく,ある日父に呼ばれ「これは私の知人の熊石村長から貰った物で,松前藩からヨウという女性が嫁いだ際に持参した松浦武四郎の古い北海道地図である.大変貴重な品であるのでこれを長男であるお前に渡すので大切に保存するように」と言われ,古い木函(角々は竹釘で留めてあった)を手渡された.その表蓋には「北海道御國惣繪圖二拾七册」と墨で記され,裏にはこれを持っていたらしい人物の「慶應元歳○○與治○○蔵書,乙丑五月求」とあった.
この松浦武四郎(1818~1888年)は幕末の探検家として有名で,当時アイヌ民族の住んでいた千島列島を含む北海道全域を隈なく調査実測し,この地を「北海道」と名付けた.この調査には全地域のアイヌ民族の全面的協力があり,各酋長から協力したすべてのアイヌ人名が明記してあった.
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