今月の主題 輸血の安全管理
話題
わが国における輸血副作用の現状
藤井 康彦
1
Yasuhiko FUJII
1
1山口大学医学部附属病院輸血部
キーワード:
輸血副作用
,
ヘモビジランス
,
ABO型不適合輸血
Keyword:
輸血副作用
,
ヘモビジランス
,
ABO型不適合輸血
pp.201-204
発行日 2008年2月15日
Published Date 2008/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101526
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1.欧米での輸血副作用報告と赤十字血液センターによる輸血副作用報告の違い 世界的な副作用の調査体制の動向について,われわれは,本年の輸血細胞治療学会総会において報告を行った1).英国では,国からの要請に基づく輸血副作用の自発的報告からなる血液安全監視体制(ヘモビジランス)がSerious Hazards of Transfusion(SHOT)研究2)の形で機能している.英国に引き続き,ヨーロッパ,北米で様々な制度に基づくヘモビジランスの構築が進められている.しかし,ヘモビジランスを実現するためには輸血副作用の病態分類,重症度分類,原因検索方法の標準化が重要であり,その存在なしには,国際的な副作用の発生状況の比較はできない.このため,国際輸血学会(International Society of Blood Transfusion;ISBT)のヘモビジランス委員会3)では輸血副作用の病態分類,重症度分類の標準化案の作成がなされている(表1).
さて,赤十字血液センターへ報告された副作用の内訳4)を見るとABO型不適合輸血を含めた溶血性副作用の報告件数が極めて少ない(表2).これはABO型不適合輸血を含めた輸血間違いの報告が80%と大部分を占める前述のSHOT報告2)と大きな違いがある.一方で,輸血後肝炎の調査体制5)は,欧米に比較してわが国が優れている点である.
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