特集 遺伝子検査―診断とリスクファクター
2.解析技術
A.検査前技術
2) 検体前処理・核酸抽出法
宮地 勇人
1
Hayato MIYACHI
1
1東海大学医学部基盤診療学系臨床検査学
キーワード:
遺伝子検査
,
検体処理
,
核酸抽出
Keyword:
遺伝子検査
,
検体処理
,
核酸抽出
pp.1293-1298
発行日 2007年11月30日
Published Date 2007/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101411
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はじめに
今日,遺伝子検査は感染症,癌,遺伝性疾患の診断において広く用いられている.診断に意義ある遺伝子の塩基配列を標的として検出する遺伝子検査において,測定前フェーズの工程である検体の前処理と核酸抽出は,様々な要因により測定自体(標的の検出)に大きく影響する1,2).ポリメラーゼ連鎖反応(polymerase chain reaction;PCR)法は,高い増幅効率を持つ酵素反応を原理とすることから,増幅産物(アンプリコン)の汚染による検査の偽陽性や増幅阻害因子による偽陰性など,検体前処理に起因する精度管理上の課題がある3).RNA解析ではリボヌクレアーゼ(RNase)によるRNA劣化が測定結果に大きく影響する4).このため遺伝子検査の精度と正確性を確保するうえで,検体の前処理と核酸抽出を適切に行うことが極めて重要となる.本稿では遺伝子検査のための検体前処理および核酸抽出における原理と方法について述べる.
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