特集 ナノテクノロジーとバイオセンサ
各論
Ⅱ. バイオセンサ関連
6. 電気化学的遺伝子検出
竹中 繁織
1
Shigeori TAKENAKA
1
1九州工業大学物質工学科応用化学教室
キーワード:
電気化学DNAチップ
,
一塩基多型(SNP)
,
テロメラーゼ
Keyword:
電気化学DNAチップ
,
一塩基多型(SNP)
,
テロメラーゼ
pp.1501-1507
発行日 2006年11月30日
Published Date 2006/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542100786
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はじめに
30億塩基にも及ぶヒトゲノム塩基配列の解析を目指した国際的なヒューマンゲノム計画は3年前に完了した.この成果を基に一塩基多型(single nucleotide polymorphism;SNP)解析,トランスクリプトーム,プロテオーム,メタボロームといったオーム解析によってヒトのみならず種々の生物に関する膨大かつ多岐にわたる情報が蓄積されてきている.今後は,これらの知識を医療,農業,環境などの分野に活用していくことが重要な課題となってきている.医療において特に生活習慣病をはじめとする疾患の発病リスクや薬剤に対する感受性(副作用や効能の事前診断)などの診断に対する適用が注目されている.これが実現できればテーラーメイド医療(個人の遺伝子的特長に応じた疾患の予防,副作用の少ない治療など)が実現し,QOL(quality of life:クオリティオブライフ)の向上と医療の効率化,医療費削減に貢献できると期待されている.
筆者らは,これまで電気化学的遺伝子検出について研究を行ってきた.電気化学的手法の遺伝子解析への適用は,従来に比べ高感度化,装置の小型化,自動化などの優位性があり今後のテーラーメイド医療実現へ貢献できると期待されたからである.ここでは,筆者らの開発した電気化学的遺伝子解析法の特徴とこの技術の電気化学的DNAチップ1)への応用,さらには癌マーカーとして注目されているテロメラーゼの電気化学的アッセイ法2)への応用について紹介したい.
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