シリーズ最新医学講座・Ⅱ 耐性菌の基礎と臨床・6
主として院内感染で問題となる耐性菌・5
真菌(基礎編)
槇村 浩一
1
Koichi MAKIMURA
1
1帝京大学大学院医学研究科医真菌研究センター/ゲノム解析リサーチ・センター
キーワード:
抗真菌薬感受性の種間または種内差
,
抗真菌薬感受性測定法
,
疫学
Keyword:
抗真菌薬感受性の種間または種内差
,
抗真菌薬感受性測定法
,
疫学
pp.813-817
発行日 2006年7月15日
Published Date 2006/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542100673
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はじめに
わが国において院内感染として問題となる真菌症とは,重篤かつ致命的な日和見型深在性(内臓)真菌症にほかならない.本症は内因性(Candida属,Pneumocystis jiroveciiなど)または外因性(Aspergillus属,Cryptococcus属,接合菌綱など)の比較的病原性が低い真菌による感染症であり,一般的には免疫抑制下,または高度な侵襲を伴う医療行為に伴って発症する.
深在性真菌症の発生頻度は経年的に増加傾向にあり,とりわけ白血病剖検例では,その25%に本症発症が認められる1).本症管理上,抗真菌化学療法に重要な役割が期待されている.しかし,いまだに抗細菌薬が効かないという意味において“真菌”自体が“耐性菌”扱いを受けがちなうえに,その“真菌”のなかにも菌種・菌株によって特定の抗真菌薬に対する感受性が異なる状況は,十分に説明されていない.そのために現行の限られた抗真菌薬や,保険報酬が認められた抗真菌薬感受性測定法が有効に使われていない状況も垣間みられる.
深在性真菌症診断・治療上のガイドラインも作成され2),真菌症対策の臨床的重要性が広く認識されつつある現状に鑑みて,真菌症起因菌の耐性,すなわち薬剤感受性の現状について改めてまとめてみたい.
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