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Endothelial progenitor cells(EPC)の概念
胎生期に新しい血管系が作られるとき,その源となるのは未分化中胚葉に由来する血島(blood island)と呼ばれる細胞集団である.血島の中央部分に位置する細胞群が造血幹細胞(hematopoietic stem cells)に,周辺部の細胞が血管芽細胞(angioblasts)へと分化し,やがてそれぞれが血球細胞および血管内皮細胞へとさらなる分化を遂げる.このように,もともとは存在しない血管が新規(de novo)に生み出される過程をvasculogenesis(脈管形成または血管形成)と呼ぶ(図1).これに対して,出生後の完成した個体では新しく血管系が作り出されることはなく,すでに存在する血管壁の内皮細胞が増殖や遊走・再構築を重ねて新しい血管を派生するangiogenesis(狭義の血管新生)のみが起きると考えられてきた1).この考え方に革命をもたらしたのが,endothelial progenitor cells(EPC,内皮前駆細胞)の発見である.なお一般的には,上述の脈管形成と血管新生を合わせた概念を,広い意味での“血管新生”と呼んでいる.
1997年,Asaharaらは,造血幹細胞のマーカーの1つであるCD34あるいは初期の造血幹細胞や内皮細胞にみられるFlk-1を細胞表面に発現する単核球を末梢血から単離し,一定条件のもとに培養すると内皮細胞に特有な種々の性質を示すことを見出した2).そして,これらの細胞が骨髄に由来すること,生体内で血管新生の盛んな部位に集まって新しい血管の形成に寄与することなどを明らかにし,内皮の前駆細胞としてEPCと命名した.
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