整形トピックス
胎児卵黄嚢erythromyeloid progenitorに由来する破骨細胞の発見
箭原 康人
1
,
川口 善治
1
1富山大学整形外科
pp.996-996
発行日 2020年8月1日
Published Date 2020/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei71_996
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1968年にvan FurthとCohnは,すべてのマクロファージは骨髄内の前駆細胞に起源し,前単球から成熟分化した血液単球に由来すると結論づけ,単核性食細胞系統(mononuclear phagocyte system:MPS)という概念を提唱した1).骨の吸収を担当する破骨細胞もMPSより供給を受けた単球およびマクロファージが,receptor activator of NF-κB ligand(RANKL)の刺激を受けて破骨細胞前駆細胞へと変化し,細胞融合を繰り返しながら成熟破骨細胞へと分化するものと考えられてきた2,3).しかし,近年一部の組織マクロファージは,胎児卵黄嚢に生じるerythromyeloid progenitor(EMP)から生じ,生後も生体内で維持されることが明らかとなった4,5).それらの卵黄嚢マクロファージは単球系細胞の分化段階を経ずに,造血幹細胞(hematopoietic stem cell:HSC)とは独立した細胞系譜によって発生することが証明されたことで,MPSという概念を見直す気運が高まった.以上の背景をもとに,われわれはEMPに由来する破骨細胞の同定を目指して研究をスタートした.
© Nankodo Co., Ltd., 2020