特集 動脈硬化-その成り立ちと臨床検査
3章 より繊細な診療を求めて―これからの冠疾患危険因子
4. 酸化LDLの測定法と診断価値
木下 誠
1
Makoto KINOSHITA
1
1帝京大学医学部内科学
キーワード:
動脈硬化症
,
抗酸化リン脂質抗体
,
抗酸化剤
,
ELISA
Keyword:
動脈硬化症
,
抗酸化リン脂質抗体
,
抗酸化剤
,
ELISA
pp.1277-1283
発行日 2004年10月30日
Published Date 2004/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542100593
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はじめに
粥状動脈硬化症の形成には,血管内皮下に蓄積した泡沫細胞が重要な役割を果たしていることが知られている.泡沫細胞は,マクロファージや血管内膜の平滑筋細胞に低比重リポ蛋白(LDL)に由来するコレステロールエステル(CE)が過剰に蓄積して形成されると考えられている.しかしマクロファージにはLDLを取り込むLDL受容体がほとんど存在しないことや,平滑筋細胞に存在するLDL受容体は細胞内のコレステロール含量が増加すると発現が抑制されることが知られていたため,これらの細胞にコレステロールが過剰に蓄積する機構は明らかでなかった.
そこでこれらの細胞にコレステロールが過剰に蓄積する機構として提唱されたのが,変性したLDLがスカベンジャー受容体を介して取り込まれる機構である.人為的にアセチル化したLDLがマクロファージを泡沫化する事実1,2)が報告されて以来,種々の変性LDLの存在が提唱されてきた.現在,生体内で存在すると考えられている変性LDLが酸化LDLである.
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