今月の主題 アルブミン
総説
構造特性からみたアルブミン―薬物結合サイトと治療設計
安楽 誠
1
,
丸山 徹
2
,
小田切 優樹
1
Makoto ANRAKU
1
,
Toru MARUYAMA
2
,
Masaki OTAGIRI
1
1熊本大学大学院医学薬学研究部薬物動態制御学分野
2ファーマダイワグループ学術部
キーワード:
HSA結合
,
薬物動態
,
薬物結合サイト
,
薬物治療設計
Keyword:
HSA結合
,
薬物動態
,
薬物結合サイト
,
薬物治療設計
pp.521-527
発行日 2004年5月15日
Published Date 2004/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542100491
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〔SUMMARY〕 ヒト血清アルブミン(HSA)は非常に柔軟な立体構造を有し,多様な物質と結合することができるため,栄養物質のような内因性物質や薬物のような外因性物質の運搬,貯蔵,安定化,可溶化,解毒といった輸送担体として重要な役割を担っている.多くの場合,薬物はHSA分子上に存在する少なくとも5つの結合サイトのいずれかに対し,特異的かつ可逆的に結合するが,NOのように34Cysに共有結合することもある.近年のX線結晶構造解析や蛋白工学実験結果から,薬物結合に関与するアミノ酸残基が同定されるようになってきた.一般に,薬物のHSA結合は投与された薬物の体内動態や薬効,毒性にも重要なかかわり合いを有しているため,HSAに対し高い親和性を有する薬物を投与する場合,蛋白結合の変動を考慮して処方設計を行うことが大切である.〔臨床検査 48:521-527,2004〕
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