今月の主題 尿路感染症の診断
話題
尿路感染症とバイオフィルム
門田 晃一
1
,
公文 裕巳
1
Koichi MONDEN
1
,
Hiromi KUMON
1
1岡山大学大学院医歯薬学総合研究科泌尿器病態学
キーワード:
尿路感染症
,
バイオフイルム
Keyword:
尿路感染症
,
バイオフイルム
pp.209-212
発行日 2007年2月15日
Published Date 2007/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542100429
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1.はじめに
尿路感染症は細菌感染としては最も頻度の高い感染症であり,泌尿器科医に限らず多くの臨床医が日常的に遭遇する疾患の1つである.その診断は比較的容易であり,尿路基礎疾患の合併がない単純性尿路感染症では抗菌薬治療に対する反応性も良好である.一方,基礎疾患を背景に発症する複雑性尿路感染症では,感染の成立にしばしば細菌バイオフィルムが関与し,抗菌薬治療に抵抗性を示す.したがって難治性や再発を繰り返す症例では,尿路基礎疾患が潜んでいることを念頭に置く必要がある.実際,尿路感染症が膀胱腫瘍や尿路結石の発見の契機となることが少なくない.また,尿路感染症は院内感染症として頻度が高く,特にカテーテル留置尿路感染症では細菌バイオフィルムの形成により慢性持続感染が成立し,交差感染の汚染源となることに注意を要する.
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