今月の主題 感染症における病原因子
話題
バイオフィルム感染症
公文 裕巳
1
Hiromi KUMON
1
1岡山大学医学部泌尿器科
キーワード:
持続感染症
,
細菌バイオフィルム
,
菌体外多糖
,
緑膿菌
Keyword:
持続感染症
,
細菌バイオフィルム
,
菌体外多糖
,
緑膿菌
pp.684-685
発行日 1997年6月15日
Published Date 1997/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542903346
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1.はじめに
感染症治療の現場において,薬剤感受性成績から考えて十分な治療効果が期待できる抗菌薬を使用したにもかかわらず,十分な効果が得られずに除菌されなかったり,また,いったん除菌されたにもかかわらず,きわめて短期間に同一細菌による再燃が生じたりすることは少なからず経験することである.同様に,生体医用材料や異物が原因となる感染症では,これらの医用材料や異物を除去しない限り感染症が治癒しないこと,ないし,単に除去するだけで感染症が治癒することがあることも従来から知られていた.近年,これらの感染症における不可解な病態の本体が感染病巣局所に形成される細菌バイオフィルムであり,単に医用材料などが関与する感染症のほかにも,種々の難治性感染症の発症,ならびに,病態の修飾と治療抵抗性に関与することが明らかになってきた1,2).
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