特集 眼感染症診療ガイド
I.眼感染症のトピックス
眼感染症とバイオフィルム
三原 悦子
1
1鳥取大学医学部視覚病態学教室
pp.34-39
発行日 2003年10月30日
Published Date 2003/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410101411
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バイオフィルムの概念
バイオフィルム(biofilm)はその言葉どおり「生物が作ったフィルム」で,菌自体の産生するグリコカリクス(glycocalyx)と呼ばれる菌体外多糖が細胞壁の周囲を取り囲むような粘液層を形成し,そのなかで細菌がコロニーを形成した状態である(図1)1)。
一般に細菌は自己の生息にとって不利な環境におかれた場合,周囲に多糖体(glycocalyx)を産生する。これを介して隣接した細菌が互いに凝集し,一塊となって付着表面に細菌の膜層,すなわちbioのfilm,biofilmを形成する2)。つまりバイオフィルムは住みにくい環境で生き残るために編み出された細菌の増殖様式なのである。このことは,例えば川底の石の表面などにみられるように,自然界に生息している細菌にみられる普遍的な姿として認識されている。
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