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特集 SSI診療の最新動向を探る!
Ⅵ.バイオフィルム
バイオフィルム総論
Implant associated biofilm infection
西谷 江平
1
Kohei NISHITANI
1
1京都大学医学部附属病院,整形外科
キーワード:
Biofilm
,
Implant
,
MBEC
Keyword:
Biofilm
,
Implant
,
MBEC
pp.623-629
発行日 2025年4月30日
Published Date 2025/4/30
DOI https://doi.org/10.18888/se.0000003395
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バイオフィルムは,細菌がインプラントなどの表面に付着して形成する複雑な構造体であり,感染成立において重要な役割を果たす。細菌はバイオフィルムを形成することで,免疫反応や抗菌薬から身を守り,接着・増殖・成熟・拡散という動的なライフサイクルを繰り返す。インプラント感染におけるバイオフィルムは特に治療が難しく,抗菌薬に対する耐性が高まる。感染予防には,インプラント表面のコーティングや細菌接着を抑制する方法が研究され,効果が期待される。一度感染した場合は,バイオフィルム形成の初期段階での治療介入が望ましい。一方で,成熟したバイオフィルムの除去は非常に困難であり,人工関節感染では再置換手術を要する場合も少なくない。今後は,抗菌薬の局所投与や複数の抗菌薬の併用,さらにはファージ療法など新たな治療法の開発が求められており,バイオフィルム感染の効果的な制御のためのさらなる基礎研究が待たれる。

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