今月の主題 酸化ストレスマーカーと疾患・病態
話題
カルボキシメチルリジン
竹内 正義
1
Masayoshi TAKEUCHI
1
1北陸大学薬学部病態生理化学教室
キーワード:
Nε-(carboxymethyl)lysine(CML)
,
advanced glycation end-products (AGEs)
,
toxic AGEs (TAGE)
Keyword:
Nε-(carboxymethyl)lysine(CML)
,
advanced glycation end-products (AGEs)
,
toxic AGEs (TAGE)
pp.197-201
発行日 2005年2月15日
Published Date 2005/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542100117
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1. はじめに
カルボキシメチルリジン〔Nε-(carboxymethyl)lysine;CML〕は,1986年にAhmedらによりグルコースとリジンの反応産物の1つとして構造決定された1).In vitroにおけるCMLの主な生成経路はシッフ塩基あるいはアマドリ化合物の酸化的解裂によると考えられている.蛋白質中のCMLは酸加水分解に安定なこともあり,HPLC(high-performance liquid chromatography)法やGC/MS(gas chromatography/mass spectrometry)法で定量することが可能である.また,AGEs(advanced glycation end-products;終末糖化産物)化蛋白質中のCML部位は主要な抗体認識部位(エピトープ)であることが報告されたこともあり2,3),AGEsの定量は,構造が明らかになっているCMLの定量で代替されてきた.
しかし近年,生体におけるCMLの主な供給源が脂質の過酸化であることが報告され4),CMLはむしろ酸化ストレスのマーカーと考えられるに至っている.
本稿では,CML研究の流れとCML測定の臨床的意義について概説するとともに,最近注目されているnon-CML AGEsの概念,なかでもTAGE(toxic AGEs)病因説について言及していく.
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