訪問看護ステーション 実践レポート—北から南から
大震災に遭って—日本赤十字社神戸訪問看護ステーションからの報告
武市 和子
1
1日本赤十字社神戸訪問看護ステーション
pp.878-882
発行日 1995年9月1日
Published Date 1995/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541903833
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[編集室から] 当欄への執筆を武市さん宛に依頼した直後の1月17日早朝,直下型の烈震が神戸市と淡路島を中心とする地域を襲った.その後,時を追うごとに,この地震が稀にみる規模のものであることが明らかにされていく.原稿の執筆の可否どころか本人の安否さえ気づかわれる状況だった.恐る恐るFAXで様子を尋ねてみようと決心したのは1週間ぐらい経ってからだった.「回線が混み合っている」との電話局からのメッセージに何度か撥ねつけられながら送信操作を繰り返すうちに,うまくタイミングが合ったのか文書が器械に吸い込まれていった.その翌日,武市さんからの元気な声が受話器の向こうから聞こえてきた.訪問先の安否の確認に神戸市内を東奔西走されているとのこと.ほっとすると同時に,無理を押して貴重な体験を文章化してもらったのが今回の原稿である.
震災から3カ月が経過しようとしている.熱しやすく,冷めやすいのが我々日本人の常なのか,新たに起きた地下鉄サリン事件の熱気に押しやられ,阪神大震災がもたらした衝撃は人々の記憶から急速に薄れつつあるように見える.そんな中で本稿は,当事者たちにとっての“震災体験”が,まだまだ始まったばかりであることを示してくれている.
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