特別寄稿
病院管理者が知っておきたい緊急被ばく医療
林 寛之
1
1福井県立病院救命救急センター
pp.742-746
発行日 2002年9月1日
Published Date 2002/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541903609
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
病院管理者として何を知っておくべきかⅠ.緊急被ばく医療の大枠組みを知っておくⅡ.現場の医療を支える
1999年の東海村の臨界事故を受けて文部科学省が予算を整備し,原子力発電所立地県の地元でもある程度きちんとした放射線被ばく医療を提供できるように,全国17県18か所に緊急被ばく医療施設が整備され,除染施設も15か所作られた.設備の整備はほぼ完了するも,現実には放射線被ばく事故の事象は頻度が少なく,日常臨床で経験できるものではない.したがって,あらかじめ実際起こり得る事象を想定しての訓練が必要になり,当面のところ,放射線医学研究所,原子力安全研究協会,原子力安全技術センターなどにより,様々な教育訓練プログラムが紹介されている.当該病院はいざという時に備えて,実際に動ける人間を育てておかなければならない.
では,原子力発電所立地県にある1次被ばく医療機関,および全国18か所にできた2次被ばく医療機関のみが緊急被ばく医療について備えておけばよいのか?答えは否である.事故は必ずしも原子力発電所で起きるとは限らず,また世界的に見ても原子力発電所での事故はまれであるということを知っておく必要があろう.本稿では,病院管理者の視点から見た緊急被ばく医療を簡単に解説したいと思う.
Copyright © 2002, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.