特別寄稿
死亡高齢者の医療費は本当に高いのか—入院医療費の年齢階層別分析・1
白木 克典
1
,
荒岡 茂
1,2
,
石井 暎禧
1
1医療法人財団石心会本部事務局地域医療連携室
2狭山病院病歴管理室
pp.482-486
発行日 2002年6月1日
Published Date 2002/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541903551
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近年,国の医療費総抑制策を背景として,一部の医療経済学者や評論家から「高額な老人終末期医療費が国民医療費膨張の大きな要因となっており,今後は介護中心のサービスに切り替えていく必要がある」といった趣旨の主張がなされてきた(注1).このような論調に対して,地域の病院で急性期医療に携わるわれわれは少なからぬ疑問と違和感を抱き続けた.それはおおむね以下の3点に整理される.
第1に高齢者の終末期とはどのようにして決められるのか?第2に死亡した高齢者には他の世代に比べ濃厚な(=医療資源多投入型)医療が本当に実施されているのか?第3に「老人医療レセプト・データ」(注2)など月単位で集計されるレセプトの加工・集計に基づく従来の死亡患者医療費分析によって医療提供の実態が明らかにされ得るのか?
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