特別寄稿
臨床医の立場からみた公立病院の理念・2
遠藤 和郎
1
1沖縄県立中部病院内科
pp.709-713
発行日 2001年8月1日
Published Date 2001/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541903343
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(7月号より続く)
12.理念を認識する
理念は一度決めたから,それで終わりというものではない.額に入れて壁に掲げるものでもない.達成するものである.ようやく理念を掲げた当院が次にやるべきことは,すべての職員に理念を認識させることである26).すべての職員が理念を認識するためには,①理念をわかりやすい言葉で表現する,②理念をすらすらいえるようにする,③理念の具体的な実現方法を伝える,④理念が正確に伝わったか確認する,といった過程が必要となる.
沖縄県には日本医療機能評価機構の認定施設が6施設ある.そのうち5施設に電話をし,交換手に理念を問うたところ,即座に答えられた施設は一つもなかった.企業のあり方のみならず,その理念「我が信条27)」で有名なジョンソン・エンド・ジョンソンの社員に,当院の廊下で理念を問うてみた.彼は額に汗を浮かべながら「顧客に対する責任」の項をゆっくりと,かみ締めるように語ってくれた.世界175か国に9万人以上の職員を抱えている同社が,一流企業である証を垣間見る思いがした.同社は理念を実行に移すために「クレドーサーベイ」という独自のアクションプランをとっている.
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