病院管理フォーラム 看護管理=病院のDON・6
専門看護職と組織改革
小山 秀夫
1
1国立医療・病院管理研究所医療経済研究部
pp.530-531
発行日 2001年6月1日
Published Date 2001/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541903302
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?CNSへの期待
わが国の看護界は,戦後,一貫してアメリカの看護を追い続けてきたように思う.それは,戦前の封建的な医療制度や婦人労働に対する差別的取り扱いに対する反省であるとともに,病院や医療に対するわかりやすいシステムへの憧れでもあった.特に,1950年代にアメリカで誕生したCNS (clinical nurse specialist)は,「高度な専門知識と技術を持って臨床の専門分野において活躍する看護婦」と定義され,わが国の看護界のリーダーの多くがCNSの定着を模索してきた.
しかし,戦後の病院看護は,慢性的な看護職不足や教育制度の不備,あるいは看護の専門性に対する看護職以外の無理解に悩まされ続けた.「看護業務の専門性を確立したい」という思いは,看護専門職共通のものであっても人手不足と日常業務に追われ,専門看護職制度は長い間実現しなかった,なんらかの専門看護職制度を確立するためには,まず,看護職の養成システム自体を見直すことが求められ,その流れは看護大学化や准看護婦(士)制度の廃止という運動につながった.現時点でも看護職の高学歴化は,一定の成果を得ることができたが,高学歴化すれば専門看護職制が確立するわけではない.つまり,専門看護職制の確立にとって,高学歴化は必要条件であるかもしれないが,十分条件ではない.
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