- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
介護保険制度の成立と平成20年度改正までの経緯
平成12(2000)年4月に「社会保障構造改革の第一歩」として介護保険制度が本格施行され,措置制度から社会保険による契約制度へと大転換した.それは,制度的(institutional)イノベーションの形をとったソーシャル・イノベーションである注1).この法律案を国会に提出したのは,第1次橋本内閣の菅直人厚生大臣(新党さきがけ〜民主党)であり,平成9(1997)年12月の成立時は小泉純一郎厚生大臣(自民党)であった.平成5(1993)年8月に成立した細川内閣は約8か月,平成6(1994)年4月の羽田内閣は僅か2か月,その後の村山内閣でも18か月で,この間阪神・淡路大震災があり,政治の混迷は誰の目にも明らかな時代だった.結果的に民主党の大臣が成立に尽力し,自民党の大臣によって成立した介護保険法は,その後も与野党の政争の具にされることもなく,制度として定着していくことができた.
平成13(2001)年1月に省庁再編が行われ,厚生労働省が設置され,その年の4月に成立した小泉内閣で坂口力厚生労働大臣(公明党)が就任し,その後約3年5か月務めた.介護保険制度の大きな改正は,第3次小泉内閣で進められた平成17(2005)年度の改革であった.10月に施設給付の見直し(食費・居住費を保険給付の対象外にし,負担できない場合に補足給付を導入),翌年4月から,介護予防の重視(要支援者への給付を介護予防給付し,介護予防ケアマネジメントは地域包括支援センターが実施するとともに,介護予防事業,包括的支援事業などの地域支援事業の実施),また,介護保険の外の補助事業(税100%)として実施されていた「介護予防・地域支え合い事業」が介護保険の中に取り込まれ,その事業費には一部介護保険料も充てられることになった.さらに,要介護1を要介護1と要支援2に分けて,要支援の対象者数を増やすとともに,要支援等の介護報酬の引き下げを行った.この改正では,地域密着型サービスを創設し,その事業者の指定を区市町村長とし,地域密着型サービスの総量管理を介護保険事業計画とリンクさせることにより,地域密着型サービスについて,多様な事業者の自由な参画に一定の制約を課すとともに,介護サービス情報の公表や,負担能力をきめ細かく反映した第1号保険料の設定なども行われた.
Copyright © 2014, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.