特集 改めて病院の安全管理を問う
組織としての医療事故防止について考える—平成11年度厚生科学研究「医療のリスクマネジメントシステム構築に関する研究:看護の「ヒヤリ・ハット」事例の分析
川村 治子
1
1杏林大学保健学部
pp.102-105
発行日 2001年2月1日
Published Date 2001/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541903191
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連日のように重大な医療事故の報道が続いている.それらのほとんどが,筆者らによって一昨年全国から収集された1万以上の看護の「ヒヤリ・ハット」事例の中に「未遂」事例として存在していた.不幸な事故の背景には,幸運にも同様事故を防ぎ得た施設や個人が必ず存在しているということである.つまり,特定の施設や個人に起きるエラーなどというものは,ほとんどないとも言える.
どのような状況や背景で,人はエラーを犯すのかを知ってこそ,個人も組織も対策が立てられる.症例検討の積み重ねにより臨床が多くの貴重な教訓を得てきたように,多数の事例から「事実」を整理することによって,エラーの発生要因を俯瞰できるはずと考えた.そして,実際に全国の注射事例を分析してみると,施設を越えて多くの共通した要因が明らかになった.本稿では,こうした分析結果をもとに,組織に求められる医療事故防止について考えたい.
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