特別寄稿 実践から病院情報システムの功罪とそのあり方を考える
2.山で潮干狩りをしないためには
田原 孝
1
,
日月 裕
2
1日本診療録管理学会日本診療情報管理機構
2市立豊中病院麻酔科・集中治療部・医療情報部
pp.137-143
発行日 2000年2月1日
Published Date 2000/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541902920
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情報システムを開発しようとすると,どの病院でも同じような問題が起こる.代表的なものとしては,「情報システムの目的」,「誰が入力するか」,「オーダの範囲(システムの規模)」などである.今回はこれらの問題について,実際の開発の経験をとおして問題の本質や解決策を述べてみたい.
情報システム,特にオーダリングシステムの開発や運用は各部門間の協調によって成り立つ.システム開発は,病院にとってはコンピュータのソフトを作るというより,各部署間の運用の明示化,もしくは明示的なマニュアル化を図っていくことである.オーダリングシステムが導入されていなくても各部署間の運用の連携は必要である.コンピュータを介せず人同士でコミュニケーションを行う場合は,人の持っている大きな融通性により,必ずしもマニュアル化しなくても運用が成り立つ.しかし,コンピュータを介する場合は,融通がききにくいため,明示的なマニュアル化を行わないと運用に支障を来すことが多い.
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