扉
山にむかいて
大江 千廣
1,2
1群馬大学脳神経外科
2日高病院ガンマーナイフセンター
pp.558-559
発行日 1998年7月10日
Published Date 1998/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436901583
- 有料閲覧
- 文献概要
身近にいつも山の姿があるのはいいことだ.「ふるさとの山にむかいて言うことなし.ふるさとの山は有り難きかな」という石川啄木のことばはあまりにも有名だが,それはまさに誰もが心にもつ思いを簡明,優雅に述べているからではないか.
私がこの30年間お世話になった群馬大学は“水と緑のまち”前橋にあり,利根川がながれ,緑の木々の豊かな街である.そして街全体は上毛の山々に囲まれている.大学の屋上に出て眺めてみると大学のキャンパスは赤城山のなだらかな裾野に在るといってよいし,赤城山の西には小野子山,子持山という小高い山が榛名山につらなっている.さらに,榛名山に続いてギザギザの妙義山,少し離れて秩父の山々が見える(このなかの,御巣鷹山は日航機の大惨事で知られている.あの時にわれわれの仲間であった,T先生を失ったという悲しい思い出もあるのだが).これらの山のさらに遠くには西から東へ,浅間山,白根山,谷川連峰などが眺見される.
Copyright © 1998, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.