特別寄稿 実践から病院情報システムの功罪とそのあり方を考える
1.山で潮干狩りはできない
田原 孝
1,2
,
日月 裕
3
1日本診療録管理学会
2日本診療情報管理機構
3市立豊中病院麻酔科・集中治療部・医療情報部
pp.41-44
発行日 2000年1月1日
Published Date 2000/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541902899
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情報システムとして最も成功している例の一つは,パチンコ業界のシステムである.この成功の最大の要因は,パチンコ業界では必要なデータや情報はなんであるか,それをどのように分析すべきか,その結果をどのように利用したらよいのかを,コンピュータシステム導入以前から知っていたことである.そのため,コンピュータ導入時に行ったことは,それらの手作業によるデータ解析の手順をコンピュータに搭載させただけである.
ひるがえって考えると,医療・福祉機関の情報システムは,必要なデータや情報は何か,そのデータや情報をどのように利用するのかという視点が欠落したまま,あるいは曖昧なままで,「コンピュータで何かをやってみよう」,「何ができるのだろうか」というコンピュータ側の視点で作られてきた.そのため,データは整合性に欠け,本当に必要なデータが欠如していたり,うまく利用されていない.
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