民間精神病院はいま—21世紀への展開・21
高田西城病院・川室記念病院—常に住民とともにある精神科治療病院を目指して
川室 優
1
1川室記念病院
pp.74-80
発行日 2000年1月1日
Published Date 2000/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541902910
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昨年5月に精神保健福祉法の5年後の見直し改正が成立し,精神病者・障害者の人権擁護についてより強固に明文化された.これにより精神科病院の治療機能は,今まで以上に地域に密着した治療・ケアを確立しなければならなくなった.
筆者の曾祖父は越後高田(現上越市)の地で住民のために西洋医学による治療を提供したいと志し,横浜で米国のヘボン,セメンスの両医師に学んだ.その全人的医療の理念は(医)高田西城会高田西城病院(旧高田脳病院,図1)創設時の指導者であった呉秀三氏からいただいた「仁壽」の言葉(図2)とともに,病める人に対する治療者・援助者の取り組みにおける大切な概念として,今日まで受け継がれている.今,ここで21世紀に向かって精神科医療は何を目指し,展開されていくのかを考えてみるとき,全人的なアプローチの重要性は,いっそう深遠な意味を含んでとらえなおされるべき重要なテーマであると思われる.
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