癒しの環境
心を傷つけないために
青木 節子
1
1青木事務所
pp.65
発行日 2000年1月1日
Published Date 2000/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541902908
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病気を治してもらうためにいった病院で,職員の心ない言葉や態度に傷ついたことのある人は少なくないはずだ.たいていは励まされ優しくされ,その献身的な態度に感謝するが,生涯忘れられないほど不愉快な思いをすることもある.言った当人は覚えていないだろうが,患者であった人は病気のことと一緒に暗い気持で思い出すだろう.
患者接遇は,病院の経営や患者獲得に大きく影響すると思われる.その接遇教育にかかわって15年になるが,研修を受ける職員の傾向がだんだん変わってきている.患者さんにとってよくないほうへ変わっているような気がする.医療に携わる人たちだけではなく一般企業の新入社員にもいえることだが,心の内が見えない人が多くなった.考えていることを表現するのが上手ではなく,語彙も少ない.顔の表情が乏しい.知らない人には特に心を閉ざしているようだ.たぶんここ何年かのうちに急速に普及したコミュニケーションのあり方がもたらしたものだろう.携帯電話も,パソコンも病院にとって大変便利な物ではあるが,実践の患者接遇にはあまりありがたいとはいえない.
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