特集 改めて癒しの環境を問う
色彩がもたらす癒し—色彩ワークショップによるメンタルケアの試み
末永 蒼生
1
1ハート&カラー色彩心理研究所
pp.843-844
発行日 1999年9月1日
Published Date 1999/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541902798
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「色彩療法」の試み
筆者は30年にわたり「子どものアトリエ」を開いてきたが,何より嬉しいのは作品を仕上げた時の子どもの表情が晴々としていることだ.一切,課題も押しつけなければ口出しもしないから,子どもたちの表現は直截だ.その結果,筆者は子どもの色彩嗜好とその心理状態がどのような結びつきを持っているかをじっくりと観察することができたのである.
このような色彩とメンタリティの関連を研究する分野は海外でも50年ほど前から始まり,現在「色彩心理」という言葉で知られるようになった.筆者自身の調査とこれまでの研究データと突き合わせても,ほぼ共通した結果がみられる.詳細は他の機会に譲るが,例えば色相に関しては赤や黄色などの暖色系は外向的で発散的な心理状態と対応して選ばれる傾向があるし,青などの寒色系であれば集中的な心理状態を反映することが多い.
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