特集 病院における情報開示
諸外国における病院の情報開示
カナダにおける患者の知る権利および関連する諸問題
ジョンストン ジョン
1
1国際医療福祉大学医療福祉学部医療経営管理学科
pp.1022-1024
発行日 1997年11月1日
Published Date 1997/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541902257
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カナダでの患者の知る権利およびそれに付随した諸問題は,他の先進諸国よりもより複雑になってきている.その理由としてカナダの連邦制が上げられる.
オタワの連邦政府ではカナダ保健法(Canada Health Act,1984年)により,例えば,医師の診察料金を補う保険の包括性,継続性,コスト—エフェクティブなシステムなどを維持することを含め,医療システムの政策と基準などを作成してきた.しかしながら,実際の医療サービスの供給責任は,BNA Act (British NorthAmerica Act,1867年,イギリス領北アメリカ法)制定以来,各州政府にある.したがって,実際には住民によって選ばれた州議会や官僚的な組織の業務を通じて,各州政府が医療サービスを直接供給しコントロールしている.中央政府の示した原則は各州とも受け入れているが,州政府ごとの独自の法律,規制および専門職団体の考え方が異なるので,すべての州で医療サービス供給システムが同じ規則で機能するというものではない.同時に,規則は社会や裁判所の解釈によって異なることもある.さらに,国民の意志が変われば,変わるものでもある.
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