特集 病院におけるマルチメディア
マルチメディアによるネットワーク化—遠隔診療支援のための画像通信
名取 博
1
,
猪股 英俊
1
,
三谷 正信
1,2
,
白松 文彦
1
,
高畠 博嗣
1,3
,
辰口 治樹
1
,
森 雅樹
1,3
,
米倉 修二
1
,
平田 健一郎
1
1札幌医学大学医学部機器診断部
2札幌医学大学救急集中治療部
3札幌医学大学第三内科
pp.240-243
発行日 1997年3月1日
Published Date 1997/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541902054
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
離島・僻地の医療の確保は地域保健医療計画の重要な課題となっている.医師は地域医療計画の医療圏における所属医療機関の役割分担を判断し,かつ常に進歩する医療のレベルをとらえて医療機関の機能を整備する管理者としてばかりでなく,外へ出て地域での活動をも求められる.このような状況にあって,離島・僻地の医師にとって日夜絶えることのない重要な業務は,多くの制約の中で地域に発生した個々の患者に適切に対処することである.従来は診療に困難を伴う症例の診療連携は医師間の紹介ルートに沿って手紙,電話,ファクシミリなどで行われてきた.マルチメディアによる医師間の双方向性の情報伝達は,診療連携のためのツールとして,その有効性に多くの期待が寄せられ,施行のみならず実地運用が行われている一方で,全国的にみれば導入されたシステムが忘れ去られていたり,会議システムの機能が用いられずに単なる読影サービスのツールとなっている場合もある.北海道の離島・僻地に公的に導入された医用画像通信を含めたマルチメディアによる遠隔診療支援ネットワーク整備の運用過程の経験と,遠隔症例検討および遠隔講義のツールとして医学部の臨床実習カリキュラムに取り込んだ結果を検討し,今後の方向について展望する.
Copyright © 1997, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.